障害者雇用を始める会社が頼りにしたい支援機関一覧

障害者雇用を始める会社が頼りにしたい支援機関一覧

障害者雇用を支援する機関は「国」「地方自治体」「民間企業」で分かれますが、その種類や数は非常に多く、障害者雇用を進めようと考える企業にとっては「どの機関の支援を受ければいいの?」と思うこともあるでしょう。

そこでこの記事では、障害者雇用に関する支援機関を国、地方自治体、民間企業に分けて、主に企業向けの支援内容にスポットを当てて一覧でご紹介します。

行政・特別法人等の支援機関一覧

高齢・障害・求職者雇用支援機構

所在地 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-2
概要 障害者だけでなく、高齢者や女性、再就職を望む人の雇用支援を行っている。また、国からの委託で障害者雇用納付金制度による納付金の徴収や助成金の支給なども行う、障害者雇用の中心となる機関。
主な支援
事業内容
・地域障害者職業センターの設置による障害者雇用支援
・障害者雇用納付金制度による助成金や報奨金の支給
・障害者雇用に関する全般的な相談
・ジョブコーチの派遣や職場定着までの助言や指導
・就労支援機器の貸し出しや講習会の開催
・就労施設や設備の設置、運営に関する相談
・障害者職業能力開発校、職業能力開発大学校、職業能力開発促進センター等の運営
・障害者雇用支援人材ネットワークサービスの運営

地域障害者職業センター

所在地 各都道府県
概要 高齢・障害・求職者雇用支援機構が設置する地域ごとの支援機関。専門的な職業リハビリテーションや事業主の障害者雇用における相談、援助だけでなく、雇用管理の助言を受けられる。
主な支援
事業内容
・雇用管理に関する助言
・雇用管理の課題の分析
・障害者を雇用するための支援計画の策定
・ジョブコーチ派遣による職場定着支援

中央障害者雇用情報センター

所在地 東京都墨田区江東橋2-19-12 ハローワーク墨田5F
概要 障害者雇用の経験がある民間企業の障害者雇用支援ネットワークコーディネーターが、規模や業種に応じて障害者雇用の管理や合理的配慮に関する相談や支援を行う。
主な支援
事業内容
・障害者雇用に関する全般的な相談
・障害者雇用に必要な機器の無料貸し出し(画面拡大ソフト、集音システム、音声認識ソフトなど)
・障害者雇用の社内啓発用DVDの無料貸し出し

障害者職業総合センター

所在地 高齢・障害・求職者雇用支援機構内
概要 職業リハビリテーションについて調査、研究、技法の開発、成果の普及などを行う
主な支援
事業内容
・障害者の職業リハビリテーションに関する研究、調査
・職業リハビリテーションにより把握したニーズに対する支援技法の開発や改良
・開発した支援技法の実践報告書や支援マニュアルの提供
・研究成果の発表や各種研修での講義による支援技法の普及活動
・職業リハビリテーションに関する本や雑誌、刊行物、視聴覚資料などの閲覧や貸出

広域障害者職業センター

所在地 ・埼玉県所沢市並木4-2
・岡山県加賀郡吉備中央町吉川752
概要 職業リハビリテーションとして、職業評価、職業訓練、職業指導など、障害の特性や能力に応じた細かなサービスを提供する
主な支援
事業内容
・障害者採用計画の策定や雇用管理に関する相談
・障害者採用実績のある企業による講習会の開催
・広域障害者職業センター内の見学
・特別な訓練メニューによる訓練と企業内での訓練を組み合わせた企業連携職業訓練の実施
・修了予定者求職情報の掲載
・訓練生を対象にした会社説明会による求人募集の場の設定
・就職後の職場定着に向けたフォローアップ

地方自治体の支援機関一覧

ハローワーク

所在地 各都道府県
概要 障害者の就職を促進するため、専門の職員や相談員による障害の種類や程度に応じた職業紹介、職場定着支援を行う

主な支援
事業内容
・雇用管理上の配慮などの助言
・専門機関の紹介
・各種助成金の案内
・就職面接会の開催
・一般求人から障害者求人への転換勧奨
・企業への雇用率達成指導
・就業支援の関係機関との連携

障害者職業能力開発校

※都道府県で運営している開発校は、厚生労働省「ハロートレーニング(障害者訓練)」を参照
所在地 各都道府県
概要 障害者の能力に応じた職業訓練や高度職業訓練を行う公共職業訓練施設。運営は国と都道府県で分かれている。
主な支援
事業内容
・企業のハローワークの求人情報を在校生へ提供する
・障害者採用に向けた訓練内容や訓練状況などの開発校内の見学
・企業説明会の開催
・職場実習やインターンシップの実施
・職場定着に向けたフォローアップ

各都道府県の労働局

所在地 全国
概要 国や高齢・障害・求職者雇用支援機構とは別に、独自に障害者雇用の支援や助成金の支給を行う
主な支援
事業内容
各都道府県により異なる。以下、支援事業の一部を抜粋
・就労支援に従事する人材の知識・技術を向上させ、支援能力の向上を図る(東京都)
・就労支援機関と企業と職場実習などを実施することで連携を強化しつつ、雇用のミスマッチの解消、障害者就労の促進と定着を図る(東京都)
・障害者の雇用促進のためのコーディネート事業、ジョブコーチ支援事業(東京都)
・障害者の歯科技工士の職域定着のため、卒後研修や歯科技工士技術研修会等の事業へ助成金の支給(北海道)
・農業分野への障害者雇用促進で農業労働力を確保するため、障害者への就労の場の提供、障害者受け入れ支援、農業と福祉のマッチング活動を行う(青森県)
・精神保健福祉士、精神障害者雇用アドバイザーのチームにより、精神障害者の雇用拡大と就業環境の整備を図る(埼玉県)
・精神障害者を雇用する企業内での体験研修やセミナーを通じた、精神障害者の雇用促進や職場定着の向上を図る「精神・発達障がい者職場サポーター養成研修事業」、雇用管理手法の普及、企業側の職場定着の能力強化を図る「精神・発達障がい者雇用管理普及事業」などを行う(大阪府)

民間企業による障害者雇用支援事業

障害者就業・生活支援センター

所在地 各都道府県、全334センター
概要 厚生労働省や都道府県から委託された社会福祉法人やNPO法人。就労と日常生活の中で支援が必要な障害からの相談、職場や家庭訪問などを行う
主な支援
事業内容
・職業準備訓練や職場実習の斡旋
・障害の特性に合わせた雇用管理の助言
・職場定着に向けた支援
・上記に関して関係機関との連携

就労移行(継続)支援事業所

所在地 全国
概要 主に民間企業による障害者雇用のためのスキル向上や就労支援、一般企業で働くことの難しい人の雇用、雇用された障害者の職場定着の支援などを行う事業所
主な支援
事業内容
就労移行(継続)支援事業所によって違いはあるが、主に以下のような支援を行っている事業所が多い
・個別支援計画の作成
・ビジネスマナーやコミュニケーション訓練、パソコンスキルの習得といった職業訓練
・職場見学やトライアル雇用、職場定着のためのフォローアップ等
・就労継続支援A型、B型施設による働く場の提供

どこに相談するか迷った時の切り分け方

さて、ここまでご紹介した支援機関の事業内容などを見てみて、やはり「どこに相談しようか…」と思われた方も少なくないのではないでしょうか。

障害者雇用の相談窓口という視点で各機関の事業を見ると、どこへ相談しても的外れではなさそうに思えます。そこで、厚生労働省で開示している資料を基に、事業主の相談内容別で窓口を切り分けてご紹介します。

事業主が受けられる支援について知りたい

求人関連
→ハローワーク
トライアル雇用制度と助成金
→ハローワーク
特定求職者雇用開発助成金・障害者初回雇用コース・中小企業障害者多数雇用施設等助成金
→都道府県の労働局、ハローワーク

障害者雇用のノウハウを知りたい

就労支援機器・各種雇用相談と情報・障害者雇用支援人材ネットワーク
→中央障害者雇用情報センター
障害者の雇用管理に関する助言や援助
→地域障害者職業センター
障害者雇用の事例
→高齢・障害・求職者雇用支援機構

障害者雇用を進めるための職場実習を行いたい

障害者職場実習支援
→高齢・障害・求職者雇用支援機構(各都道府県にある支部の高齢・障害者業務課)

障害者が継続して働くための支援について知りたい

障害者雇用納付金制度の助成金
→高齢・障害・求職者雇用支援機構(各都道府県にある支部の高齢・障害者業務課)
障害者雇用に関する税制優遇措置
→税務署
障害者雇用安定助成金(障害者職場定着支援コース)
→各都道府県の労働局、ハローワーク

【参考】厚生労働省 障害者の方への施策「どこへ相談すればいいか分からない方へ」

障害者雇用納付金制度を始めとして、障害者雇用の全般的な支援や措置については、基本的に国が高齢・障害・求職者雇用支援機構へ委託して運営しています。よって、上記のどれにも当てはまらない場合は、一旦、高齢・障害・求職者雇用支援機構へ問い合わせてみても良いでしょう。

まとめ

障害者雇用が初めてという企業の場合、何から手を付けるべきか、雇用後のサポートはどうすべきかなど分からないことだらけかと思います。

ただ、障害者雇用だからといって、求人や面談、採用という段階で特別なステップを作る必要はなく、基本的に一般の雇用方法と大きく変わりはありません。

ただその流れの中に、障害の特性や症状への配慮というものが必要となるため、その部分を今回ご紹介した各機関へ相談することで考えていただくと良いのではないでしょうか。

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