在宅勤務で障害者雇用を実現した事例5選

在宅勤務で障害者雇用を実現した事例5選

障害者雇用を進める会社、そして障害を持つ本人にとって「通勤」は雇用にあたって大きな障壁です。そんな障害者の働く場所という課題において、在宅ワークの障害者採用によって解消している事例は数多くあります。この記事では実際に在宅勤務の障害者雇用した事例、そして実際に障害者雇用を在宅勤務前提で求人募集をしている会社を5つご紹介します。

不動産会社が在宅勤務の障害者雇用を実現「価値住宅株式会社」

【出典】価値住宅株式会社

日々、顧客との商談に追われる多忙な不動産業界では事務仕事は後回しになりがちです。そんな不動産業界での在宅勤務を実現したのが「価値住宅株式会社」。北海道の障害者と在宅ワークでの採用を検討していた東京の不動産会社がマッチングした事例です。実は不動産業では集客のための事務作業は重要で、間取りを作成したり、物件情報をインターネットに掲載したりなど様々な業務があります。これらの事務作業は普段は営業マンが片手間に行っていることも多いですが、今回のケースではテレワークで採用された障害者が在宅勤務で行うことになりました。1日の流れは、朝9:30から業務を開始し、1日数回のWeb会議。17:30には業務進捗を報告して終了となります。産経新聞にも掲載された障害者の在宅勤務の好事例です。

業務内容 間取り図作成・画像補正・ホームページへの物件情報の入力・VRコンテンツの作成や編集
雇用形態 完全在宅勤務
給与形態 非正規社員
勤務時間 週3日勤務、1日7時間
在宅勤務の特徴 職場と自宅が遠いため、Web会議ツール「Appear.in(現在はWherebyに変更)」をコミュニケーションツールとして導入。オフィス側の音声はOFFにしてカメラはONにしているため在宅勤務者からはオフィスの様子が確認できる。
本人の声 不動産の業務経験がないため不安だったが、職場の人が親切だったため徐々に不安も無くなった。

【参考】テレワーク – 厚生労働省

障害者と企業をマッチングした支援団体「特定非営利活動法人バーチャルメディア工房ぎふ」

【出典】特定非営利活動法人バーチャルメディア工房ぎふ

次にご紹介するのは、「特定非営利活動法人バーチャルメディア工房ぎふ」が障害者と企業をマッチングさせた事例です。ITスキルを持つ障害者とIT企業のマッチングは当事者同士だけではなかなか実現しません。この事例では元々バーチャルメディア工房ぎふの理事長と雇用された障害者とは20年来の知り合いで、就労を希望する本人が十分なITスキルを持っているのは以前から把握していたため、IT企業から障害者雇用の相談を受けたのを機に推薦し、企業と障害者のマッチングに成功しました。ただ障害者雇用に繋がったのは、障害を持ちながら働く意思を常に発信し続けた本人の努力も大きいようです。企業側の配慮や支援団体による紹介だけでなく、働く障害者の前向きな行動が雇用に繋がった事例と言えるでしょう。

業務内容 システムのプログラム開発
雇用形態 パート社員
給与形態 時間給
勤務時間 週に38.3時間勤務/1日7時間40分
在宅勤務の特徴 業務管理働く本人も開発にかかわった「電子日報」というソフトを使用。同ソフトにより勤務時間や仕事の問題点などを社内共有している。また、社会保険や健康診断といった福利厚生もある。
本人の声 仕事に必要な機器やソフトなどを最新の設備を揃えてもらった。会社にもっと貢献できるよう自分のスキルをアピールしていきたい。 在宅雇用を検討するなら「なぜ働きたいのか」という意志を明確に示すことが大事。

【参考】事例3(特定非営利活動法人バーチャルメディア工房ぎふ) – 障害者の在宅就業支援

日本初の在宅勤務の障害者雇用専門会社「沖ワークウェル」

【出典】沖ワークウェル

昨今では在宅勤務の障害者雇用をメインにする企業も増えてきました。「株式会社沖ワークウェル(OKIワークウェル)」は、日本で初めて在宅勤務専門の障害者雇用を進めるために立ち上げられた特例子会社で、親会社は日本を代表する会社の1つである沖電気工業です。社会貢献事業として、社会福祉法人を通じて障害者に仕事を発注したところ、障害者でもパソコンの使用が問題ないことを確認し、1998年に在宅勤務チームを発足しました。以降、在宅勤務の障害者は増え続け、現在では51名もの在宅勤務の障害者雇用を実現しています。

業務内容 ホームページ制作・Webアプリケーション開発・デザイン業務・DTP・人事総務部門作業・名刺作成画面編集・障害者向け在宅Web制作訓練
雇用形態 契約社員
給与形態 時間給
勤務時間 6時間か7時間の選択制
在宅勤務の特徴 連絡手段は主に電話とメール。社内システムにより技術ノウハウの共有や業務スケジュールの管理、週に1度の報告などを行う。
在宅勤務者の声 インターネットで在宅勤務の仕事を探して就職した。専用のツールにより他の在宅勤務社員と会議や社員同士のやりとりが聞こえるため職場で仕事をしているように感じる。できれば定年まで長く勤務したい。

【参考】事例5(株式会社 沖ワークウェル) – 障害者の在宅就業支援

多彩な業務とチーム編成で定着率アップ「ジョブサポートパワー株式会社」

【出典】ジョブサポートパワー株式会社

「ジョブサポートパワー株式会社」は、総合人材サービスを展開するマンパワーグループの一員として発足した特例子会社です。なんと全社員の約9割が障害者で、そのうち7割近くが在宅勤務の障害者雇用で働いており、在宅勤務のために同社で働く障害者は全国各地に在籍しています。ジョブサポートパワーではインターネット会議や昇給制度の導入、体調管理を優先できる社内制度の確立などにより、障害者の高い就労定着率を実現しています。

業務内容 労務、人事、採用、教育、研修などの管理・会議室管理・財務事務・福利厚生事務・派遣スタッフの対応・ヘルプデスク・テープ起こし・プログラム構築など
雇用形態 契約社員(正社員登用あり)
給与形態 社内規定による
勤務時間 週5日勤務(9:00~16:00)
在宅勤務の特徴 ミーティングや朝礼などはSkypeを活用。業務を10名ほどのチームに分け、チーム内でリーダーやサブリーダーを選出することでモチベーションアップに繋げている。
本人の声 最初は不安もあったが、入社後は自分で考えて業務を行えるようになった。困ったときには先輩社員に相談して解決できる。現在はリーダー業務を行っています。

【参考】障害者雇用取組事例集_単頁版 – TOKYOはたらくネット – 東京都

外資系関連企業による積極的な障害者雇用「アデコビジネスサポート株式会社」

【出典】アデコビジネスサポート株式会社

最後は事例とは少し異なりますが、在宅勤務の障害者雇用を積極的に進める会社のご紹介です。「アデコビジネスサポート株式会社」では、キャリアプランナーという職種で積極的に在宅勤務の障害者雇用支援を行っています。職場定着を支援するジョブコーチの設置、社外カウンセラーと契約して悩みや課題、メンタルヘルスについて面談できる環境を設けています。キャリアプランナーは、親会社のアデコに登録する求職者へ仕事を紹介したり提案したりする業務で、電話応対がメインのため、営業や電話対応などの経験を活かせる職として現在も募集しています。

業務内容 求職者の個人情報や希望条件、職歴等をヒアリングして社内システムへ入力。求職者に合う求人を探して提案や紹介も行う。
雇用形態 契約社員
給与形態 月給制158,813~181,500円
勤務時間 9:00~17:30
在宅勤務の特徴 社会保険完備の上、育児支援や無期社員登用制度もある。PCやヘッドセットなどの必要機器は貸与され、通信料も月2000円まで支給されている。
本人の声 特になし

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