精神障害者や発達障害者の平均年収は?障害別の比較と事例

精神障害者や発達障害者の平均年収は?障害別の比較と事例

現在雇用されている精神障害者や発達障害者の平均年収はどのくらいかご存知でしょうか。

精神障害者と発達障害者の平均年収は実は一般的なサラリーマンと比べて低く、職場環境も満足なものとは言えない状況です。

今回、厚生労働省が公表した「平成30年度障害者雇用実態調査結果」を基に、精神障害者と発達障害者の年収比較や年収が低い理由、障害者雇用の現場における課題等を解説します。

精神障害者・発達障害者の年収調査!労働時間との関係は?

精神障害者や発達障害者の平均年収が低いという事実は、厚生労働省が公表する「障害者雇用実態調査」を見ると一目瞭然です。

上のグラフは障害者雇用実態調査の「1か月あたりの賃金」を年収に直したものです。日本の平均年収400万円に比べると、かなり低水準であることが分かります。

ここで一つ推測されるのが「障害者は労働時間の短い人が多いからではないか?」という点。

では、障害者雇用実態調査結果から精神障害者や発達障害者の労働時間を見てみましょう。

【精神障害者の労働時間(週)】
【発達障害者の労働時間(週)】

障害者の週の労働時間は30時間以上の人が半数を占めますが、一般労働者は週40時間以上が通常ですので、確かに労働時間の短さが年収に影響している可能性は十分考えられます。

そこで障害者の年収を日給・時給に換算して比較してみましょう。

  一般的なサラリーマン 精神障害者や発達障害者
(30時間労働)
年収 400万円 200万円
日給換算 約17,000円 約8,300円
1日8時間労働の時給換算 約2,000円 約1,400円

精神障害者や発達障害者の給与は、日給や時給に換算しても一般労働者より3割ほど低い計算になります。

どうやら精神障害者や発達障害者の年収が低い理由は労働時間だけではなさそうです。

精神障害者と発達障害者の雇用形態・年齢を比較

精神障害者と発達障害者の年収が低くなるのは、「雇用形態の違い」も一つの要因です。

厚生労働省が実施した障害者雇用実態調査では、雇用形態を以下4つに分けてアンケートを取っています。

  • 無期契約の正社員
  • 有期契約の正社員
  • 無期契約の正社員以外
  • 有期契約の正社員以外

では、雇用形態を精神障害者と発達障害者の別に分けたグラフをご覧ください。

障害の種類にかかわらず、7割の障害者が非正規社員で、正社員として安定雇用が約束された障害者は3割もいません。

特に発達障害者の半数は、雇用期間が限定される有期契約というのが現状です。

一般のサラリーマンと比べた時、雇用形態の違いが障害者の年収に影響していることは間違いないでしょう。

また、雇用される精神障害者と発達障害者の年齢分布という興味深いデータがあります。


精神障害者の場合、高年齢でも比較的多く雇用されている傾向がありますが、発達障害者は40代以降は雇用者数が急激に減少します。

上記の違いが表れる理由ははっきりとしていませんが、日本における発達障害への認知度・理解度が浅いという事が一因ではないかと推測されます。

事実、発達障害者支援法が施行されたのは2004年。障害者雇用促進法の障害者の定義に発達障害が含まれるようになったのは2013年です。

発達障害を世間が認知する基礎が作られて日が浅いため、雇用の現場でも発達障害への理解が進んでいない可能性は十分にあるでしょう。

(アンケート調査)障害者と企業の意識の違い

では実際のところ、精神障害や発達障害への理解はどの程度進んでいるのでしょうか。

当メディアでは精神障害者と発達障害者の方に実際にアンケート調査を行いました。

「仕事をしていて困った出来事や辛かったエピソードを教えてください。」という質問に対する、当事者の生の声をご覧ください。

うつ病
タンクローリの会社を辞める一ヶ月間、仕事上のミスを全部取るという事になり自社全社員の前で謝罪、油槽所の伝票発見室(他社ドライバー出入する)で待機し、自社のローリが来所したら積込作業の立会、再教育をさせられた事が辛かった。事故案件という事が他社ドライバーも知っていので、針のむしろみたいでした。
統合失調症
一番は人間関係で職場でのイジメがあったり、コミュニケーションが上手くとれない事があった
うつ病・統合失調症
人間関係が続かない
双極性障害
話が通じない、話を聞いてもらえない、罵倒され続ける
広汎性発達障害
困ったことがあっても誰にも相談出来なかった
発達障害、視野障害
自分の発達障害をまわりのアルバイト、パートの人が理解できず、こりつしたこと 最終的に社員すら話を聞いてくれさえしなかった。
自閉症スペクトラム
半年間もの期間 上司に仕事を取り上げられ、どんどん精神的に追いつめられ、仕事に対する自信を失ったこと。

他にも様々な意見がありましたが、多くが仕事上の人間関係や上司とのトラブルなどで、労働時間や業務スキル等に関する悩みは多くありませんでした。

では、障害者を雇用する企業側はどう考えているのでしょうか。

障害者雇用実態調査で行われた企業向けのアンケート結果も見てみましょう。

障害者の雇用にあたって多くの企業が「障害者雇用のノウハウが課題」と答えていますが、障害者にとってむしろ重要なのは「職場での人間関係を企業が認識しているか」でしょう。

障害者雇用実態調査結果を見る限り、「従業員が障害特性について理解できるか」という配慮については企業も課題の一つと認識しているようです。

しかし前述のアンケートの通り、現実には職場の人間関係で悩んだりパワハラ、モラハラ行為に苦しむ障害者が多いのも事実。

障害者の年収に直接関わる話ではありませんが、企業と障害者の認識のズレが分け隔てのない障害者雇用の足かせになっている印象は否めません。

「障害者雇用は生活できない」と言われる理由とは?

最後に当サイトで行ったアンケート調査による、障害者の希望年収をご覧ください。

厚生労働省の調査では、労働時間週30時間以上の精神障害者と発達障害者の実際の年収は以下の通りでした。

【平均年収】
精神障害者:226.8万円
発達障害者:196.8万円

数字だけ見れば大きな差はなく、障害者の給料が差別的と言える違いではなさそうですが、年収で数十万円の違いは月の給料に換算すると数万円の違いになります。

「障害者雇用では生活できない」「障害者の給料は差別されている」という声を度々耳にするのは、この数十万円の違いが理由とも言えるでしょう。

この問題を解決するのは簡単ではありませんが、障害を持つ当事者と雇用する企業側の意識の違いを解消していくことがカギとなるのかもしれません。

【出典】厚生労働省 平成30年度障害者雇用実態調査結果

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