障害者雇用はなぜ社内ニート化してしまうのか。事例・原因・対処方法など

障害者雇用はなぜ社内ニート化してしまうのか。事例・原因・対処方法など

障害者雇用は、採用して終わりではありません。採用してから問題が発生するケースは多く、障害者雇用した人が社内ニート化してしまうのもその1つです。

社内ニートとは、出勤しているにもかかわらず仕事がない状態の雇用者こと。一般社員にも存在しますが、それ以上に障害者雇用した人が社内ニート状態に陥りがちです。

この記事では、障害者が社内ニート化した事例やそこに至る原因、そして、社内ニート化の対処法を紹介します。社内ニートをどうしたらいいのか悩んでいる人は、ぜひ参考にしてください。

障害者雇用が社内ニート化した事例

社内ニートは、会社にいても仕事がありません。障害者雇用で採用した人に単純作業ばかりを振っている場合、業務時間内の早い段階で仕事が終わってしまいます。仕事が終わった後にすることがないと、時間を持て余した障害者は社内ニート化しがちです。

そして、社内ニートをきっかけとして、新たな問題が生じることもあります。その1つは、一般社員が社内ニート化した障害者をサボっているように感じてしまうことです。特に、繁忙期で業務が立て込んでいる時は、自分が忙しいのに余裕があるように見える障害者を疎ましく思うこともあるでしょう。

しかし、気楽なように見えても、出勤しているのに仕事がない状態は辛いものです。社内ニート化してしまった障害者自身も、仕事のない状態について悩み、肩身の狭さから退職を考えるようになってしまいます。

このように、障害者雇用した人が社内ニート化してしまう環境は、誰にとってもプラスとなりません。社内ニートという表面的な問題だけでなく、一般社員のやる気や障害者社員の勤続意志に影響する前に、社内ニート問題を解決しましょう。

障害者雇用が社内ニート化してしまう原因

それでは、障害者雇用した人が社内ニート化してしまうのはなぜなのでしょうか。続いて、社内ニート化する原因について見ていきましょう。

担当してもらえる仕事が少ない

社内ニート化してしまう大きな原因として、そもそも障害者に担当してもらえる仕事が少ないことが挙げられます。

障害者に任せる仕事自体が少ない場合、早い時間に担当業務を終えたとしても次に依頼する仕事がありません。そのため、空き時間の過ごし方が障害者に一任される形となり、社内ニート化しやすくなります。

身体障害や知的障害、精神障害といった障害の種類にかかわらず、障害者をひとくくりにして割り振る業務を決めている場合は、特に社内ニート化しやすいといえるでしょう。

そこには、障害者には簡単な仕事しか任せられないといった誤解があります。障害の種類によっては、業務遂行能力に問題がなく、レベルの高い仕事をこなすことも可能です。

過去に担当業務に時間がかかっていた場合、任せていた仕事が苦手分野の可能性もあります。障害者の特性を理解するのに加えて、改めて本人の希望を確認すると、社内ニート化を改善できる可能性があるでしょう。

障害者雇用に業務面を期待していない

一定数の従業員がいる場合、障害者を雇用する義務があります。そして、従業員数が100人を超える場合、決められた障害者雇用率が未達成だと納付金を支払わなければなりません。そして、従業員数にかかわらず、雇用率以上に雇用している場合は調整金や報奨金が支給されます。

そういった法定雇用率を満たすことを第一の目的としている場合、障害者を採用後の戦力としては考えていないケースがあります。そういったケースでは、ずっと働き続けてほしいと考えているため、無理なく続けられるように簡単な仕事しか担当させないこともあるでしょう。その場合は、企業として障害者を戦力として業務に組み込む体制づくりが必要です。

障害がある人に配慮しすぎている

障害の特性に配慮しようとした結果、社内ニート化につながってしまうケースもあります。障害者は研修や会議などへの参加が免除されるといった対応もその1つです。体調面を気遣ってのことであっても、必要以上の配慮は障害者の肩身の狭さにつながってしまいます。

「大丈夫?」「無理しないでね」といった気遣いは、障害者にとってありがたいものである反面、挑戦する機会を奪ってしまう可能性もあります。心配してくれていることが分かるからこそ、障害者が遠慮して一歩引いてしまうのです。

企業ができる社内ニート化の対処法

それでは、障害者を社内ニート化させないためにはどうしたらよいのでしょうか。大切なのは、障害者が担当業務を早くに終えたときにどうするかを明確にすることです。ここからは、そのために企業ができることを紹介します。

ジョブコーチ支援を利用する

ジョブコーチは、障害者の職場適応についてのサポートを行います。障害者と企業それぞれにアドバイスをしてくれるため、障害者がより働きやすい環境をつくることが可能です。

目に見えて分かりやすい障害がある場合、どのように配慮したらよいかも分かりやすいでしょう。しかし、目に見えない障害は、どう配慮したらよいかが分かりづらく、簡単な仕事しか任せられなかったり配慮しすぎたりといった事態につながってしまいます。

また、できる範囲や負担に感じる程度などを、障害者本人が自覚できていないケースもあります。その場合、障害に対する知識がある第三者が間に入ることで、双方の希望をすり合わせできるでしょう。

ジョブコーチ支援を利用する場合、障害者職業センターかハローワークに相談してみてください。従業員がジョブコーチ養成研修を受けるといった選択肢もあります。

余った時間にすることを指示する

業務が早くに終わって時間が余った際に、何もすることがないのは辛いものです。しかし、障害者に割り振る仕事量自体が少ない場合、手が空いた障害者に仕事がないかを聞かれても頼める仕事がないかもしれません。

その場合は、時間が空いたときにすることを前もって指示しておきましょう。仕事があるかどうかを上司や同僚に聞きまわるのも、障害者にとって負担となります。あらかじめすることが決まっていると、障害者が空き時間に肩身の狭い思いをしなくてすむでしょう。

与えられる業務がない場合は、業務に関することを勉強してもらうのがおすすめです。資格取得を目指して勉強するのもよいでしょう。資格取得や勉強で、業務ができるという裏付けができれば、この先は業務内容をランクアップさせることも検討できます。

社内ニート化しない・させない職場づくり

障害者が社内ニート化してしまうのには、企業の体制や本人の資質などさまざまな要因があります。そして、障害者雇用された本人、企業、周りの一般社員にとって悪影響となり得るため、社内ニート化は早めに解決したい問題です。

社内ニート化を解決するためには、周囲が障害のある人をしっかり受け入れている必要があります。そういった環境下でなら、障害者の手が空いたときに仕事が欲しいと言いやすいでしょう。本人の希望や企業の意向に合わせて、空き時間を勉強時間に充てることも可能です。

障害者雇用で雇った人の中には、仕事に対する能力が高い人もいます。ジョブコーチを利用して互いに障害特性を理解し、障害者が適した仕事を担当できる職場づくりを行いましょう。

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