スマホ・SNS依存と精神疾患、自殺の関係性

スマホ・SNS依存と精神疾患、自殺の関係性

スマホやSNSへの依存により精神疾患や自殺が増えていると言われているのをご存知でしょうか。

過去にニュースなど見て知っていらっしゃるかもしれませんが、実は日本と海外では少し状況が違います。もちろんスマホやSNSへの依存が良いわけはなく、精神疾患や自殺に結び付く可能性は否めません。

では、なぜスマホやSNSへの依存が精神疾患や自殺と関係するのか。各機関のデータも踏まえてスマホ依存を治す方法等も解説いたします。

スマホ利用で精神疾患と自殺が増えたと言われる理由

まずスマホやSNSの依存が精神疾患と自殺に関係すると明言されているのは、あくまで海外での話。日本ではスマホやSNS利用と精神疾患や自殺との関連性は研究発表されていません。

参考までに、海外でスマホやSNS利用で精神疾患や自殺が増えたと伝えるメディアの内容を抜粋しましたのでご覧ください。

【2015年にアメリカで発表された研究】
・スマホ利用を止められた若者に離脱症状(薬物依存の症状)が見られた
・スマホが手元にないことで知的作業への支障や喪失感を感じる人がいると報告された
【米疾病対策センター(CDC)のデータ】
・うつ病の患者と自殺者がスマホが普及し始めた2010~2015年に増加
・10代女性の自殺率は5年間で65%、中高生は31%増加
・重度のうつ病になる女性は58%増加
・毎日5時間以上スマホを使う若者の48%が自殺について考えたことがある
・使用時間が1日1時間という人の場合は28%だった

アメリカの大学教授が自殺率の推移とスマホ普及の時期を比較し、自殺率の増加とスマホ普及の時期が一致すると発表、スマホを利用する若者で自殺を考えたことがある人も多いため、スマホ利用と精神疾患や自殺の増加が関連すると結論付けています。

スマホ依存症とうつ病の関係

では日本でスマホ利用やSNSを理由とした自殺者やうつ病は増えているのでしょうか。前述した通り、少なくとも日本においてスマホ・SNS利用とうつ病や自殺者を裏付けるデータはありません。

しかしながら、厚生労働省が公表しているデータを見る限り、スマホの普及とうつ病患者の増加が無関係とも言い切れなそうです。

【参考】厚生労働省 患者調査

日本も2010年以降から急激にスマホが普及しましたが、うつ病を含む気分障害患者が増加する時期と一致しています。

過去20年ほどの間で気分障害の患者数が最も多くなっているのを見る限り、スマホを始めとしたIT機器の普及や進化も無関係とは言い切れないでしょう。

スマホ依存症は自殺率にも影響する

では仮にスマホやSNSの過剰な利用が精神疾患に関連しているとした場合、自殺者は増加しているのでしょうか。

結論からお伝えすると、自殺者の数はスマホ依存症との関係性は見受けられません。人口動態統計に基づく自殺死亡数及び自殺死亡率というデータを見る限りでも、スマホが普及し始めた2010年以降で急激に自殺率が上がったという状況ではないのです。

【参考】厚生労働省 人口動態統計に基づく自殺死亡数及び自殺死亡率

日本でスマホが普及し始めた2010年以降、ほぼ全年代で自殺死亡率は低下しています。若干の増減はあるもの、10代においてもアメリカの調査研究結果とは異なるのが分かります。

ただ、スマホ依存が睡眠時間にまで影響している場合は自殺に結び付く可能性は否めません。睡眠時間がしっかり確保されていないと以下のような影響が出るためです。

・体の代謝が悪くなり回復機能が低下する
・精神を安定させる神経伝達物質が働かなくなる
・体内の免疫システムの働きが弱くなる
など

精神疾患や自殺率を示すデータではありませんが、文部科学省が公表した資料に興味深いデータがあります。以下のグラフは同資料に記載された高校生へのアンケート結果です。

【出典】文部科学省 平成26年度「家庭教育の総合的推進に関する調査研究

携帯電話やスマートフォンを利用する時間が多い高校生ほど、寝る時間が遅いのが分かります。特に午前1~2時に就寝する人では、4時間以上携帯電話やスマートフォンを利用する人の割合が多くなっていることが分かります。

また、携帯電話やスマートフォンの利用時間が多い人ほど授業中に眠気を感じるというのも見て取れます。スマホの利用時間が多いと睡眠不足になる。結果、精神が不安定になりやすく、状況が悪化すれば精神疾患や自殺にもつながると考えられます。

スマホ依存の治療と対策!5つの方法と「キャンプ」の効果

スマホ依存症で陥るのは精神疾患だけではなく、血行不良や肩こり、ドライアイや関節炎など他の病気も引き起こす可能性があります。スマホ依存症への対策で推奨されている方法をご覧ください。

・スマホの利用時間を記録する機能やアプリを使用して現状を知る
・特に使用率の高いアプリは消去する勇気を持つ
・アプリの通知機能をOFFにしてスマホが気にならないようにする
・布団に入るときにスマホを近くに置かないようにする
・スマホをいじっている余裕がなくなる趣味を作る

どれも効果はありそうですが、いずれも「自分自身の強い意志がないと実現できない」ものばかりですが、ネット中毒者の治療を目的としたキャンプに参加させる「キャンプ治療」という方法もあります。

文科省で進められている「青少年教育施設を活用したネット依存対策推進事業」では、国立青少年教育振興機構と連携してネット依存の青少年を対象にした宿泊体験事業を実施しています。

キャンプ治療によってネットやゲーム依存が必ず解消するわけではありませんが、結果を見る限り一定の治療効果は認められることが報告されています。

【出典】「青少年教育施設を活用したネット依存対策推進事業」報告書

資料にある「IAT」や「DQ」とは、インターネット依存度を測る指標です。

IATが70以上、DQが5以上 = インターネット依存が疑われる
IATが40以上、DQが3以上 = インターネット問題使用の疑い

また、ゲーム依存により死亡者まで出た韓国でもキャンプ治療が推奨されています。さらに自ら参加を希望した人と親族等から促された場合ではネット依存から脱した人の割合に差があるとのこと。つまり、自らの意思で状況を変えたいと自覚しているかどうかでその後の結果も変わるのです。スマホやSNS依存症にも同様のことが言えるでしょう。

スマホ依存を治すには医療機関やカウンセリングなどに相談するという手段もありますが、まずはスマホ依存の現状を把握して状況を変える意思を持つことが、スマホ依存を解消するための第一歩と言えるのではないでしょうか。

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