発達障害者におすすめな仕事は?ADHD/ASD/SLD別に解説

発達障害者におすすめな仕事は?ADHD/ASD/SLD別に解説


発達障害者について、「障害者」という言葉の響きから、仕事に向いておらず働くこと自体が厳しいというイメージをお持ちの方は少なくないかもしれません。しかし、ある業界で目覚ましい業績をあげている方が発達障害者というケースは決して珍しくないことです。そもそも発達障害者はそうでない方と比べて、何事にも向き・不向きがハッキリする傾向があります。これは仕事に限ったことではありません。

そこで、今回はADHD/ASD/SLD別におすすめの仕事を解説していきます。必ず以下に挙げる仕事に向いているというわけではありませんが、向いている可能性は十分にあると考えられます。是非、ご参考にしてください。

ADHDの方におすすめの仕事

ADHD(注意欠如・多動症)は、「不注意」と「多動・衝動性」を主な特徴とする発達障害です。不注意によって、「ミスをしやすい」「一つの事に集中しにくい」「気が散りやすい」「物をなくしやすい」「順序だてて活動に取り組みにくい」というような面があります。

また、多動・衝動性によって、じっとしていられない・静かに仕事ができないなどの面もあります。さらに、これらの特性から、いわゆるマルチタスクを苦手とする側面もあります。ADHDの場合は、不注意の面が強いのか、多動・衝動の面が強いのかによっても、その特徴は変わってきます。

一つの事に集中できない・気が散りやすいという点については、好奇心が旺盛で、アイデアが豊富であると捉える事ができます。また、衝動性による行動に関しては、行動力があると言い変えることもできます。さらにADHDの方は興味のあることに集中することは得意としています。そのため、これらの特性について活かす事ができるような仕事に向いていると言えるでしょう。

以上、ADHDの特性より、Webデザイナー、インテリアデザイナー、プログラマー、エンジニア、漫画家、画家、作家、ミュージシャン、俳優、イラストレーター、歩合の営業職、ジャーナリスト、スタイリスト、カメラマン、スポーツ選手の内、自分の性格や適性を考えながら自分に向いていると感じられる仕事を選ぶと上手くいく可能性が高いでしょう。

ASDの方におすすめの仕事

ASDの方は社会的なコミュニケーションや他の人とのやりとりが上手く出来ない、興味や活動が偏る、自分だけのルールにこだわる、予定が急変するとパニックになるといった特徴があります。その場の空気を読んだり、暗黙のルールを理解したり、言葉の裏を察したりすることも苦手です。

しかし、特定領域の記憶力に長けている点、興味のある分野は粘り強くとことん追求する点、関心分野に高い集中力を発揮できる点などの長所は仕事を行う上で、大きな強みとなりえます。ASDに由来するこだわりが仕事に活きるような場面では、ASDの方が重宝されるというケースもよくあります。

ASDだけに限りませんが、発達障害の症状は、捉え方によって良い部分として理解される時もあれば、悪い部分として理解される時もあります。自分や近しい方の発達障害をきちんと理解し捉えた上で上手にコントロールし、短所となってしまう場面を減らし、長所として発露できる機会をどのように増やすかが非常に重要です。

ASDの方には、その場の空気を読む力や暗黙のルールを理解する力よりも、明文化されたルールやマニュアルに従う事が要求される経理・法務・書籍の校閲や校正、定型的業務の多い日常清掃、自分の興味のある専門分野の知識を活かせるWebデザイナー・プログラマー・インテリアデザイナー・学者が向いている可能性があります。これらの内、自分の性格や適性を考え、自分に向いていると感じられる仕事を選ぶと上手くいく可能性が高いでしょう。

SLDの方におすすめの仕事

SLDは、「読み」「書き」「計算」等の特定の学習に大きな困難がある状態を指します。全体的な理解力には遅れがないところが知的障害とは異なります。SLDは学問としての算数や国語が苦手ということではなく、たとえば「数字の持つ順番を認識することが難しい」「視覚的に文字が逆さに見える」といった認知能力に凸凹がある状態です。SLDは他の発達障害以上に能力の偏りに個人個人の差があるため、まずは自分や親しい方のSLDの特徴をしっかり把握することが重要です。

SLDの方に向いている仕事ですが、読み書きや計算など、自分が苦手とする作業の基本的な部分を、アプリやツールを用いて補いながらできる仕事が向いています。例えば、コピー&ペーストを利用したデータ入力業務、Excelを用いた計算業務、人と捉え方が違う事を活かすことができ、創造性を必要とする広告デザイナー・芸術家に向いている可能性があると言えるでしょう。世界的な俳優であるトム・クルーズは自分自身がSLDであることを告白していますので、俳優に向いているという方もいるでしょう。

発達障害者と言っても一括りにできるわけではない

ここまで発達障害別におすすめの仕事を見てきましたが、いかがでしょうか。発達障害別に、向いている可能性が高い仕事についてイメージできた方も少なくないのではないでしょうか。

発達障害者と一口に言っても、発達障害の症状、発達障害者の能力・価値観・性格などは人によりけりという部分が大きいと言えるでしょう。例えば、あるASDの方に向いている仕事だけれど、別のASDの方には向いていない仕事であるというケースも少なくないでしょう。

上記のように、発達障害者は何事にも向き・不向きがハッキリとする傾向があるので、もし自分でこの仕事には向いていないと感じた場合は、客観的に自分を見てくれる理解者と相談しながら、その仕事に向いていないという事実をあまり引きずらずに、割り切って自分に合った別の仕事を探す方がよいという場合が多いでしょう。

自分に向いていて、かつ、続きそうな仕事を選ぶ必要があるという意味では、発達障害者の仕事選びも、発達障害でない方の仕事選びと大きくは変わりません。実際に仕事を探す時は、自分を客観的に理解してくれている家族や仲間、専門家の意見もよく聞いて参考にしましょう。

発達障害別に形式的に考えるのではなく、あくまでも自分や近しい方の発達障害の症状をしっかりと理解して、合うものを選ぶということが非常に重要です。その際、ぜひ今回の記事も参考にしていただければ幸いです

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