発達性協調運動障害(DCD)とは?特徴、支援方法、有名人・芸能人も

発達性協調運動障害(DCD)とは?特徴、支援方法、有名人・芸能人も

発達性協調運動障害(DCD)という言葉を聞いたことはあるでしょうか?

比較的新しく認識された障害ですが、実は発達障害のカテゴリーのひとつに分類されています。

発達性協調運動障害は、日常生活におけるちょっとした動作が困難なケースが多いですが、周囲からは分かりづらいために、理解が難しい障害だと言われることもあります。

この記事では、発達性協調運動障害の特徴や支援方法、この障害を持つ有名人や芸能人などもご紹介します。

発達性協調運動障害の特徴

発達性協調運動障害(DCD)とは、発達障害の種類に含まれる障害です。この障害を持つ方は、運動障害や知的障害がないにも関わらず、靴紐を上手く結ぶことができなかったり、何度練習しても自転車に乗ることができないなどの日常生活上の動作が極端に不器用な特徴が見られます。

発達性協調運動障害は、主に遊びや授業などで体を動かすことが多くなる学童期に目立ちやすくなるとされています。しかし、それ以前にも、他の子どもと比べてスプーンを使って食事をすることが苦手だったり、階段の上り下りが困難だったりなどの兆候が現れることも少なくありません。

ただし、すべての物事ができないというわけではないため、「不器用な人」「運動神経が悪い人」というように捉えられ、本人も障害という自覚がないまま成長することが多々あります。また、発達性協調運動障害は大人になるにつれて、症状が目立たなくなって行くケースも存在します。

注意したいのは、周囲も自分も分かりにくいために、誤った捉え方や判断をしてしまうことがあると言うことです。例えば、小学校で練習しても縄跳びができなかったとします。そのせいで、先生や親をはじめ、本人も「縄跳びができないのは、練習を怠けていたからだ」と思い込み、周囲はもっと練習させようと圧力をかけることもあるでしょう。

また、本人は「こんなに練習してもできないなんて、自分はダメな子だ」と自信を喪失してしまうことも考えられます。このような考え方が過剰になりすぎると、いじめに繋がることもないとは言えませんし、うつ病などの精神疾患が生じる場合もありますので、気を付けることが大切です。

発達性協調運動障害は他の発達障害と併発する場合が多い

発達性協調運動障害は単独で現れることもありますが、他の発達障害を併せ持つ場合も少なくありません。例えば、注意欠陥性多動性障害(ADHD)の落ち着きのなさや限局性学習障害(SLD)の読み書きや計算ができないなどという症状も合併することがあるのです。

このような発達障害の特徴にも「不器用さ」はよく見られがちですので、最初から発達性協調運動障害を持っていると診断されにくい場合もあります。そのため、異常なほどに自分の不器用さを感じたり、他の人のほとんどが簡単にできる動作でもなかなか習得できないと思ったりした場合は、早めに専門医を訪れて相談してみることをおすすめします。

発達性協調運動障害に対する支援方法

発達性協調運動障害は幼い頃に気づくことができれば、より早くに対策を取ることが可能になります。つまり、子どもの各々の発達に合わせた日常生活上の課題を少しずつ改善していく支援方法が実施されるのです。どこの部分の運動作業が苦手なのかに焦点を当て、その原因を調べて行くことを目的に、理学療法や作業療法などを取り入れた療育プログラムを進めます。

ただし、支援だけに力を入れるのではなく、本人がプログラムに取り組むこと自体に苦痛を感じていないか、楽しみを持てているかという点にも注意を注がなくてはなりません。そのうえで、本人に新しいことにも挑戦してみたいと思わせるようなサポートが重要です。このような支援は、発達障害を専門とする医療機関などで受けることができます。

発達性協調運動障害の有名人や芸能人は?

発達性協調運動障害を含む発達障害は、通常の学級に在籍する児童の中だけでも6.5%の割合で存在するというデータが出ています。児童だけでこの数ですから、成人も含めれば、一定数程度の発達障害者がいることが推測されることでしょう。以下に、有名人や芸能人で、発達性協調運動障害を持つまたは疑われる人について、お伝えします。

ダニエル・ラドクリフ(俳優)

ダニエル・ラドクリフは、映画「ハリーポッター」シリーズの主演を務め、有名となったイギリスの俳優です。幼い頃から大スターとなった彼ですが、俳優になる前は発達協調性障害を持つがゆえに、学校生活に馴染めず、苦労したと語っています。

彼は、靴紐が上手く結べない、字がきれいに書けないなど、症状としては軽いものが多いそうなのですが、みんなができることができずに、学校で疎外感を抱えていたようです。学校に居場所がなかったことにより、彼が興味を持ったのが俳優の世界。そして、今に至ります。ラドクリフは自身の障害をオープンにしていることから、世界中の発達性協調運動障害の方の希望になると良いですね。

黒柳徹子(タレント)

司会業やユニセフ活動など、マルチな活躍で知られる黒柳徹子。日本のタレントの代表といえる彼女も、発達性協調運動障害の疑いを抱えています。読み書きや計算をするのが苦手なうえに、授業中に机のふたを100回程度も開けたり閉めたりを繰り返し、よく先生に叱られたようです。

他の子どもの迷惑になるからと、小学一年生にして退学になった彼女は、別の学校に転校します。そこで彼女自身の言動を理解してくれる先生に出会い、他人と違っても良いのだと自分を認めることができるようになったとか。また、彼女は落ち着きのなさなどもあり、ADHDやSLDなどの障害も併存していると告白しています。

【出典】
発達障害について:文部科学省
DCD:発達性協調運動障害 てんかんと発達の横浜みのる神経クリニック

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