特例子会社は止めた方がいい?!発達障害者が就職先を選ぶポイント

特例子会社は止めた方がいい?!発達障害者が就職先を選ぶポイント

障害者への特別な配慮を前提にした「特例子会社」。障害者雇用を促進させるのに大きく貢献していると言われています。

発達障害者を積極的に採用して話題になる特例子会社もある中、実は発達障害者自身による「特例子会社はオススメできない」という声も耳にします。

特例子会社は障害者にとって救世主のような存在のはずですが、一体どんな理由でオススメできないと言われているのでしょうか。

そこで今回は、特例子会社で働いている障害者のクチコミや特例子会社に発達障害者が就職するデメリット、特例子会社は発達障害者に向いているのか向いていないのかを考えてみたいと思います。

特例子会社の仕組みと働くメリット

特例子会社は企業が「障害者が働く職場」として設立する子会社で、一定要件を満たせば、特例子会社で雇用する障害者を親会社の障害者雇用率の算定に含めることができます。

昨今、障害者雇用の促進に大きく貢献する制度として特例子会社を設立する企業が増えており、現在では2万人以上の障害者が特例子会社に就職しています。

【出典】厚生労働省 障害者雇用率制度

特例子会社の設立は雇用側の企業と働く障害者の双方にメリットがあります。

企業側のメリット
・障害者雇用率の達成が容易になり、調整金が支給される
・障害者に任せる仕事を集中管理できるため、労務や業務、人事の管理が容易になる
・障害者雇用を一本化できるため、障害者雇用を進めやすい
・障害者雇用のノウハウを蓄積でき、障害者の生産性も向上できる
・職場定着率を高められるため、求人にかかる費用や人件費を削減できる
障害者側のメリット
・比較的簡単な仕事が多く、落ち着いて仕事ができる
・就職や転職する会社の選択肢が広がる
・障害の特性に配慮されているため就労面や生活面で安心感がある

障害者の雇用や採用を前提としているため、特例子会社の設立には特別な配慮や設備改修が必要です。

そのため特例子会社は、就職率や定着率の低い発達障害者や精神障害者にとって働きやすい会社として期待できます。

制度内容だけで言えば、特例子会社は発達障害者や精神障害者にとって救世主とも言える就職先でしょう。

発達障害者の声から考える特例子会社の実態

しかし、特例子会社の制度は少々後ろ暗い理由で活用する企業もあるのではないかと疑いたくなる事実もあります。

特例子会社の制度は簡単に言えば、「障害者雇用率の達成義務がない子会社が障害者を雇用した場合、親会社の障害者雇用数に合算して良い」とされています。

つまり、特例子会社を「数合わせ」としか考えない企業が現れても全く不思議ではない制度なのです。

では、実際に特例子会社で働いている発達障害者や就労経験がある発達障害者、その他特例子会社についてのTwitter上のクチコミを見てみましょう。

これらはほんの一部に過ぎませんが、辛辣な意見は数多く見られても、特例子会社を称賛する声はあまり見られません。

もし企業が特例子会社を「障害者雇用率を達成する手段」としてのみ考えているなら、障害への理解や配慮どころか急ごしらえで設立する表向きだけの会社にしかならない可能性もあります。

障害者を積極的に採用する特例子会社としてよくメディアに取り上げられる企業もありますが、少なくとも手放しで歓迎できない状況なのが特例子会社の実態と言えそうです。

特例子会社は給料が安い?発達障害者が就職先を選ぶポイント

とはいえ、特例子会社は発達障害者も含めた就職先として一つの選択肢であるのは間違いありません。

仮に特例子会社に発達障害者が就職する場合、いくつかチェックしておきたいポイントがあります。

例えば、特例子会社に発達障害者が就職した時のデメリットですが、先述の発達障害者の意見も含め、特例子会社に就職した発達障害者の多くは以下のようなデメリットを口にします。

・特例子会社の雰囲気に馴染めない
・給料が低い
・業務が単調すぎる
・スキルアップや昇格が望めない

つまり、発達障害者が特例子会社を選ぶポイントは、実際に特例子会社に就職した発達障害者の意見においてデメリットが少ないかどうか、デメリットを裏返してチェックポイントにしてしまえば良いのです。

【発達障害者が特例子会社を選ぶときのポイント】
・どんな人が働いている職場か
・自分の障害特性と会社の雰囲気が馴染みそうか
・自分の望む給与水準か
・飽きずにできる業務内容か
・昇進や昇格、スキルアップの制度はあるか
・クチコミ等の評判はどうか

発達障害はコミュニケーション能力や一部の学習能力に困難があるという特性がありますが、身体的や知能的な障害があるわけではありません。

そのため、福祉色の強い特例子会社に就職した発達障害者から雰囲気や仕事内容に馴染めないという意見が多く上がるのは致し方ないことなのです。

無理に特例子会社への就職を考えず一般企業の障害者枠という選択肢もありますので、チェックポイントを踏まえて自分の望むような状況でなければ、特例子会社以外の就職も検討してみましょう。

特例子会社一覧と2019年に設立された特例子会社

では、最後に全国の特例子会社をご紹介します。

特例子会社は2019年時点で全国に517社あり、特例子会社一覧 | 厚生労働省より確認できます。

都道府県ごとにまとめられていますので、もし発達障害があって特例子会社への就職を検討する場合は、企業のホームページやハローワークで求人がないか探してみてはいかがでしょうか。

参考までに、2019年に新たに設立または特例子会社として認可予定の会社を都道府県ごとに一部ご紹介します。

青森県
げんねんワークサポート株式会社
東京都
帝人ソレイユ株式会社
野村かがやき株式会社
ソニー生命ビジネスパートナーズ
オリンパスサポートメイト株式会社
株式会社デジタルハーツプラス
LINEビジネスサポート株式会社
株式会社DNPビジネスパートナーズ
山梨県
シミックウエル株式会社
富山県
朝日印刷株式会社
静岡県
しずぎんハートフル株式会社
愛知県
NGKゆうサービス株式会社
アイシンウェルスマイル株式会社
東邦フラワー株式会社
岐阜県
イビデン株式会社
京都府
日東精工SWIMMY株式会社
大阪府
株式会社ココワーク
株式会社マンダムウィル
日本ハムキャリアコンサルティング株式会社

※あくまで設立ベースであり、認可が2020年以降予定の会社も含まれます。

特例子会社は良くない評判があるのも事実ですが、障害の特性に合わせた配慮を前提として作られているのも事実です。

しかも年に20~30社のペースで増加していますから、今後自分の希望にあった特例子会社が設立される可能性も十分考えられます。

ご紹介した特例子会社一覧なども選択肢に含めつつ、発達障害者が活躍できそうな職場を探してみてはいかがでしょうか。

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