精神障害が過去最高の伸び!障害者雇用率ランキング2019

精神障害が過去最高の伸び!障害者雇用率ランキング2019

精神障害者の雇用が義務化されてから1年が経過しました。ニュースなどで「障害者雇用率が最高の伸び」という記事を目にしたことがある方も多いでしょう。

では、都道府県別や企業、業種別に見た時の障害者雇用率はどうでしょうか。

この記事では障害者雇用率ランキングを都道府県、業種、企業別のデータから少し意外な事実や、世界の障害者雇用率に関わるデータなどあまり出回っていない情報をご紹介します。

【都道府県別】障害者雇用率ランキング

まずは都道府県別の障害者雇用率ランキングを見てみましょう。

順位 都道府県 実雇用率
1位 沖縄 2.73%
2位 奈良 2.67%
3位 山口 2.58%
4位 佐賀 2.55%
5位 岡山 2.52%
6位 大分 2.46%
7位 福井 2.4%
8位 島根 2.4%
9位 宮崎 2.4%
10位 長崎 2.37%
11位 和歌山 2.36%
12位 鹿児島 2.34%
13位 高知 2.3%
14位 熊本 2.25%
15位 青森 2.23%
16位 滋賀 2.23%
17位 岩手 2.22%
18位 鳥取 2.22%
19位 北海道 2.2%
20位 三重 2.2%
21位 徳島 2.2%
22位 石川 2.18%
23位 広島 2.16%
24位 愛媛 2.16%
25位 埼玉 2.15%
26位 長野 2.14%
27位 岐阜 2.14%
28位 京都 2.13%
29位 兵庫 2.11%
30位 秋田 2.07%
31位 茨城 2.07%
32位 福岡 2.07%
33位 山形 2.06%
34位 群馬 2.06%
35位 新潟 2.06%
36位 宮城 2.05%
37位 静岡 2.05%
38位 福島 2.04%
39位 富山 2.04%
40位 千葉 2.02%
41位 神奈川 2.01%
42位 大阪 2.01%
43位 栃木 2%
44位 山梨 1.99%
45位 愛知 1.97%
46位 香川 1.95%
47位 東京 1.94%

障害者雇用率の高い都道府県は、上から「沖縄」「奈良」「山口」「佐賀」「岡山」といった地方都市が上位になりました。一方で障害者雇用率の低い都道府県は、下から「東京」「香川」「愛知」「山梨」「栃木」の順となっています。

全体で見ると関東周辺や大阪、愛知といった都市の雇用率は低い傾向にあり、地方エリアのほうが障害者雇用は進んでいると見ることができます。

企業数で言えば都市圏のほうが圧倒的に多いはずですので、企業数の少ない地方エリアの障害者雇用の方が進んでいる理由は少々気になるところです。

【参考】平成30年 障害者雇用状況の集計結果(厚生労働省)

【業種別】障害者雇用率ランキング

では続いて、業種別の障害者雇用率ランキングを見てみましょう。

医療福祉における障害者雇用率が最も高く、2.68%となっています。自身が障害を持っていて同じ障害のある人を助けたいといった声も見られ、障害者にとって人気の業界と言えるかもしれません。

次いで障害者雇用率の高いのが、意外にも「農林漁業」です。昨今は農福連携も進んできており、農林漁業における障害者は貴重な労働力になっていると言えるでしょう。

【企業別】障害者雇用ランキング

では、日本で最も障害者を雇用している企業はどこか。東洋経済オンラインでは、毎年「『障害者の雇用率』が高い上位100社ランキング」を発表しています。

2019年10月にも発表されましたが、驚きの雇用率を達成している企業が報告されていました。上位20社を抜粋してご紹介いたします。

順位 社名 業種 雇用率
1位 ゼネラルパートナーズ サービス業 20.92%
2位 エフピコ 化学 13.78%
3位 エイベックス 情報・通信業 7.09%
4位 キトー 機械 6.92%
5位 フアーストリテイリング 小売業 5.62%
6位 シーエックスカーゴ 陸運業 5.39%
7位 LITALICO サービス業 4.85%
8位 良品計画 小売業 4.73%
9位 ワタミ 小売業 4.65%
10位 ダイジェット工業 機械 4.56%
11位 極東貿易 卸売業 3.93%
12位 リヒトラブ その他製品 3.92%
13位 シンクレイヤ 建設業 3.87%
14位 マックスバリュー北海道 小売業 3.77%
15位 太洋工業 電気機器 3.73%
16位 日本電気硝子 ガラス・土石製品 3.69%
17位 和田興産 不動産業 3.6%
18位 いなげや 小売業 3.59%
19位 スター精密 機械 3.56%
20位 モリト 卸売業 3.56%

1位のゼネラルパートナーズは、障害者雇用率トップの常連。障害者の就職や転職サービスを事業としている会社であり、雇用率からすると10人に2人の従業員が障害者ということになります。

2位のエフピコも障害者雇用率上位である常連会社の一つ。食品トレーや惣菜の容器などを製造する会社であり、特例子会社や就労支援施設も運営しています。

3位のエイベックス以降は障害者雇用率が少し下がるものの、ランキング上位の障害者雇用を行う会社は、全て雇用率3%以上を優に達成しています。障害者雇用の促進が急がれる日本において、まさに日本を代表する会社です。

【参考】東洋経済ONLINE

世界の障害者雇用率と日本の障害者雇用率

都道府県、業種、企業というカテゴリで障害者雇用率を見てきましたが、日本全体としての障害者雇用率を見てみましょう。

以下のグラフは厚生労働省の「障害者雇用状況の集計結果」を基にした、障害者雇用率の過去推移です。

2016年から障害者雇用率の算定に精神障害者も含まれるようになり、以降は急激に障害者雇用率が上がっているのが分かります。特に伸び率が高いのは精神障害者の雇用率です。

厚生労働省が公表している「障害者雇用状況の集計結果」を基に、過去10年における障害別雇用率の伸び率をグラフ化しましたのでご覧ください。

※雇用率ではなく「対前年比の増加割合」です。

知的障害者と身体障害者の雇用者数は毎年数%ずつ増加していますが、精神障害者の雇用者数は毎年20%を超える増加率で推移しています。

特に2018年は精神障害者の雇用が義務化されて法定雇用率がアップし、更に雇用率の算定方法についてルール変更もあったため、障害者雇用を進める会社の増加により前年比で約35%増と過去最高の伸び率となっています。

ここ数年、日本の障害者雇用もかなり進んできているように思えますが、それでは「世界の障害者雇用率」という視点で見た時はどうでしょうか。

参考までに、経済協力開発機構(OECD)が公表している「雇用とリハビリテーションの保護と支援」というデータをご紹介します。

グラフは国の支出として、「援助付き雇用政策」に対してGDP比でどれだけ支出しているかというデータです。

障害者雇用率は国により制度内容が全く違うため、定性的に比較できる数字はありませんが、GDP比で見た援助付き雇用政策に対する支出割合では日本はかなり低い水準にあるのが分かります。

雇用率自体は年々増加していますが、実は政策としてまだまだ出遅れている状態と言えるかもしれません。

【参考】厚生労働省 障害者雇用状況の集計結果 / OECD

まとめ

年々、順調に増加している日本の障害者雇用。昨年は国の省庁や地方自治体など公的機関による障害者雇用率水増し問題があったためか、今年はまだ障害者雇用状況の集計結果は公開されていません。

政府も障害者雇用率が未達成であっても今年度は企業名を公表しないとの見解を示していることから、もしかすると来年まで持ち越しの可能性もあります。どちらにせよ、2019年度の障害者雇用率が気になるところです。

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