障害者法定雇用率の高い業種・低い業種ランキング10選

障害者法定雇用率の高い業種・低い業種ランキング10選

「令和元年度障害者雇用状況の集計結果」によると、民間企業の実雇用率2.11%(対前年0.06ポイント)と、微増ながら法定雇用率の2.2%にほぼ近い数字となっています。

全体的に見れば障害者の雇用率は目標水準にありますが、残念ながら業種によりばらつきがあるのが現状です。厚生労働省のデータを元に、障害者法定雇用率の高い業種・低い業種をそれぞれご紹介します。

障害者法定雇用率の高い業種5選

  業種 実雇用 雇用者数 法定雇用達成企業の割合
1位 医療・福祉業 2.73% 79368.5人 61.60%
2位 農・林・魚業 2.54% 1,074人 60%
3位 生活関連サービス業・娯楽業 2.32% 12,395人 41.70%
4位 電気・ガス・熱供給・水道業 2.25% 4,852.5人 48%
5位 運輸・郵便業 2.19% 34,929人 54.40%

法定雇用率の高い業種1位は医療・福祉業ですが、障害者の雇用者数・達成割合共に高い数値を誇っています。その他農林漁業の一次産業や、電気ガス・水道などのインフラ関連が障害者雇用率が高いというデータが示されています。ここで紹介した5業種は障害者雇用に積極的と言っても良いでしょう。

障害別・法定雇用率の高い業種における雇用者の割合

障害者法定雇用の高い業種での、障害別(身体・知的・精神障害)の雇用の割合について見てみましょう。

1位 医療福祉


 
医療・福祉業における障害者別雇用割合は他業種に比べても障害の区別なくバランス良く雇用されています。障害者の雇用において、最も積極的な業種です。

2位 農・林・漁業

農・林・漁業においては、知的障害の雇用者が多い事がデータで示されています。全体的な雇用者数も1,074人と少ない傾向があります。

3位 生活関連サービス業・娯楽業

法定雇用率の高い上位5業種において、最も知的障害者の雇用者数の割合が多いのが、生活関連サービス業・娯楽業です。若干ながら身体障害の雇用者数を上回っています。
 

4位 電気・ガス・熱供給・水道業

電気・ガス・熱供給・水道業は身体障害者の雇用が大多数を占めています。身体障害の方にとっては間口が広い業種ですが、それ以外の障害の方には再雇用されるのが難しい業種の一つかもしれません。

5位 運輸・郵便業

5位の運輸・郵便業においても、身体障害者の割合が3分の2以上を占めています。法定雇用率の高い上位3業種においては比較的バランスが取れていますが、4位と5位の業種については身体障害者の雇用に偏る傾向があると言っても良いでしょう。

障害者法定雇用率の低い業種5選

  業種 実雇用 雇用者数(人) 法定雇用達成企業の 割合
1位 教育・学習支援業 1.69% 8,209.5 37.50%
2位 情報通信業 1.74% 27,167 26.90%
3位 不動産業、物品賃貸業 1.75% 8,188 33.80%
4位 建設業 1.88% 15,119 48.00%
5位 学術研究・専門・サービス業 1.93% 20,098.5 33.60%

次に法定雇用率の低い業種について見てみましょう。低い業種の傾向として教育・研究・情報通信などの特別なスキルを必要とする高度な業種が並んでいます。法定雇用率だけを見ると障害者雇用に消極的にも思えますが、障害者の雇用数自体は決して少ない数字ではありません。その業種の全体の雇用者数が多いため、法定雇用率を算出したところ低く出てしまうというケースもあります。

障害別・法定雇用率の低い業種における雇用者の割合

1位 教育・学習支援業

法定雇用率ワースト1位の教育・学習支援業ですが、やはり身体障害の方の雇用が多めです。知的障害者の雇用者も990人と、知的障害の方が働くには難しい業界ながら数字の上では健闘しています。

2位 情報通信業

法定雇用率ワースト2位の情報通信業ですが、障害者雇用は2万人を超えており決して少ない数字ではありません。全体の雇用者数が多い業種で、この障害者雇用率はかなり高い数値にあります。法定雇用率の達成企業割合も26%とあまり良い数字ではありませんが、企業によって、障害者雇用に温度差があるのかもしれません。

3位 不動産業、物品賃貸業

不動産、物品賃貸業においては、障害種別の雇用バランスが取れているのが特徴的です。法定雇用企業達成割合も48%と、全業種で見ても高い数値となっています。

4位 建設業

建設業においては、身体障害者が圧倒的に多い傾向があります。このような結果になるのは職業的に危険を伴う仕事が多いのがかも知れません。

5位 学術研究、専門、技術サービス業

学術研究・専門・サービス業においても障害者雇用2万人を超えており、障害の区別なく雇用されているのが特徴的です。専門スキルが必要な業種ではありながら、この雇用者数は立派とも言えます。

産業別達成企業割合ランキング

最後に法定雇用企業の割合達成ランキングをご紹介します。

1位 医療・福祉 61.6%
2位 運輸・郵便 54.4%
3位 製造 53.9%
4位 建設 48%
5位 熱・電気・ガス・熱供給・水道業 48%
6位 宿泊・飲食・サービス業 46.1%
7位 サービス業 46.8%
8位 生活関連サービス 41.7%
9位 金融・保険 38.7%
10位 卸売り・小売 38.1%
11位 教育・学習支援37.5%
12位 不動産・物品賃貸業 33.8%
13位 学術研究・専門・サービス業 33.6%
14位 情報通信業 26.9%

これらのデータを総合的に見ると、一次産業・インフラ機関などにおいては法定雇用率高めです。ホワイトカラー(情報通信・教育)などの専門知識が必要な凝視では低い傾向があります。

業種により全体の雇用者数に波があるため、法定雇用率が低いからといって、その業種が障害者雇用に消極的には一概には言えません。障害者の法定雇用率については波があるものの近年は上昇傾向にありますので、今後の伸びに期待しましょう。

【参考】令和元年度障害者雇用状況の集計結果

執筆者プロフィール

TOPへ