うつ病になりやすい業種・職業ランキング15選

うつ病になりやすい業種・職業ランキング15選


精神疾患は「がん」「脳卒中」「急性心筋梗塞」「糖尿病」に並ぶ五大疾病の一つ。精神疾患の中でも最も多いのが「うつ病」です。

本人の気質や職場でのメンタルヘルス対策等も「うつ病のなりやすさ」を左右しますが、実は「うつ病になりやすい職業」の存在が統計で分かってきています。

この記事では厚生労働省の「精神障害に関する事案の労災補償状況」を基に、精神障害の多い職種・業種を「うつ病になりやすい業種と職業」として、上位15位までをランキング形式でご紹介します。

うつ病になりやすい業種ランキングTOP15

まずは「うつ病になりやすい業種」を上位15位まで一覧で見てみましょう。

精神障害の労災請求件数の多い業種ランキング(平成30年度)
順位 職種 件数
1位 社会保険・社会福祉・介護事業 192
2位 医療業 127
3位 道路貨物運送業 89
4位 総合工事業 68
5位 情報サービス業 65
6位 飲食店 58
7位 その他の事業サービス業 56
8位 輸送用機械器具製造業 54
9位 その他の小売業 52
10位 食料品製造業 46
11位 学校教育 44
12位 道路旅客運送業 37
13位 保険業(保険媒介代理業、保険サービス業を含む) 35
14位 設備工事業 34
15位 機械器具小売業 33

【1位】福祉・介護業界

社会的弱者の支えとなるべき「社会保険・社会福祉・介護事業」がうつ病になりやすい業種の1位です。

下記資料では、介護施設のうち約7割が16時間以上勤務。更に1人体制での夜勤で2交代夜勤という長時間労働体質であることが分かります。

社会福祉関連は長時間労働に加え、ストレスフルな労働環境がうつ病になりやすい主要因だと言えるでしょう。

【出典】医療労働「2018年介護施設夜勤実態調査結果」

【出典】医療労働「2018年介護施設夜勤実態調査結果」

【2位】医療業界

医療業界においては、医師の人手不足と過酷な勤務実態が昨今話題に上がっています。

20代医師を例にとると、勤務時間は週平均55時間程度。更に当直やオンコール(緊急時のための待機)が15時間加わるため、週70時間も拘束されることになります。

労災請求件数では「保健師、助産師、看護師」も上位5位にランクインしています。

命を預かるという職業上のプレッシャーに加え、長時間労働が加わればうつ病になりやすいのも当然と言えるでしょう。

【出典】厚生労働省「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」

【3位】運送業界

うつ病になりやすい業種3位は、「道路貨物運送業」です。トラック運転手などがイメージしやすいかも知れません。

運送業もやはり長時間労働が指摘されている業界です。配送には当然「時間制限(納期)」があります。

人手不足という現状で一人当たりの荷量が過多になりがちで、常に時間に追われることへのストレスが精神疾患の主要因と言えるかも知れません。

うつ病になりやすい職種ランキングTOP15

続いて「うつ病になりやすい職種」を上位15位まで一覧で見てみましょう。

精神障害の労災請求件数の多い職種ランキング(平成30年度)
順位 職種 件数
1位 一般事務従事者 274
2位 営業職業従事者 116
3位 自動車運転従事者 101
4位 商品販売従事者 99
5位 保健師、助産師、看護師 88
6位 介護サービス職業従事者 85
7位 製造・加工処理従事者(金属製品を除く) 73
8位 法人・団体管理職員 64
9位 接客・給仕職業従事者 60
10位 社会福祉専門職業従事者 59
10位 情報処理・通信技術者 59
12位 建築・土木・測量技術者 48
13位 製造技術者(開発) 39
13位 営業・販売事務従事者 39
15位 製造技術者(開発を除く) 34
15位 飲食物調理従事者 34

【出典】エン・ジャパン「2019年「企業の人材不足」実態調査」

【1位】一般事務

うつ病になりやすい職種で最も多いのが「一般事務従事者(オフィスワーカー)」です。

職業分類における一般事務従事者は「一般職」といわれる事務員だけでなく、人事や総務、企画に秘書等の職種も含みます。

オフィスワーカーのストレスと言えば、やはり「人間関係」。実際、精神障害の労災請求原因は「嫌がらせ・いじめ」や「上司とのトラブル」等の「対人関係」に属するものが最も多く挙げられています。

【2位】営業職業

うつ病になりやすい職種の2位は「営業職業従事者」。小売店などの販売員を除く「営業職」です。

人手不足や倒産の増加は度々話題になりますが、エン・ジャパンの調査によると、最も人手が不足しているのが「営業職」となっています。

人手不足であれば、その分一人当たりの負担が大きくなることは想像に難くありません。

営業職は「達成困難なノルマ」「顧客や取引先からのクレーム」など、ストレス原因がかなり多い職業と言えるでしょう。

【3位】運転手(バス・タクシー等)

うつ病になりやすい職種3位には「自動車運転従事者」がランクインしています。

主な理由としては業種で3位に入った「道路貨物運送業」とほぼ同じで労働時間の多さです。

車を運転する業種・職種は、労働時間だけでなく、常に時間に追われたり、接客トラブルなどストレス原因が多い職業の代表と言えるのかもしれません。

年々増加する精神障害の労災請求件数

厚生労働省が毎年公表している「過労死等の労災補償状況」では、仕事による強いストレスなどが原因で発病した精神障害の状況を報告しています。

精神障害による労災請求件数は平成26年度から毎年増加を続けており、平成30年度では過去最高の1,820件を記録しています。

【出典】厚生労働省「平成30年度過労死等の労災補償状況」

年に1,820件というと「大した数ではない」と思われるかもしれませんが、これはあくまで「労災」として請求されている件数です。

つまり、この件数は「仕事が原因でうつ病に苦しむ人の一部に過ぎない」という事です。ストレス社会の現代において仕事によるうつ病は、誰もが無視することのできない問題なのです。

まとめ

うつ病になりやすい業種や職業に共通するのが「時間外労働の多さ」と「人に関わる職業」です。

つまり「長時間労働が慢性化していて人間関係のトラブルが多い業界や職業」を避ければ、うつ病になりにくいと言えるのかも知れません。

うつ病の原因は人それぞれですが、仕事が原因のうつ病リスクを低減するために「労働時間」と「人間関係」を重視して仕事を選ぶのも1つの選択肢と言えるでしょう。

執筆者プロフィール

TOPへ